第1回 修那羅峠の語源           高橋福幸氏 H20年6月

 

 

青木村と筑北村(旧坂井村)の村境に修那羅峠(しゅなら・とうげ)があります。この峠には安宮神社と民衆が納めた800体以上の石仏群が残っていますが、最近ではその素朴さが故に有名になり、それなりの観光客を集めています。

私がこの峠の存在を知ったのは小学校の遠足時で、この時以来「修那羅」と言う日本語離れした奇妙な地名が、頭にこびり付いて離れないでいました。ところが、“古川純一著「改訂版 日本超古代地名解」彩流社”にその語源が解明されていたのです。

  

修那羅は“シュナラ”、“ショナラ”或は“スナラ”と呼ばれている様ですが、この本によるとこれらは梵語で『石』を意味する“アシュナ”と、チベット語で『峠』を意味する“ラ”の合成語だったのです。修那羅峠には石が多かったので、アイヌ人がアイヌ語で“石峠=シュナ・ラ”と名付け、これを大和民族が漢字で“修那羅”と当て字したので、修那羅だけで“石峠”を意味しているのです。しかし、時代が経過するにつれて、“羅”は“峠”を意味している字である事が分らなくなり、後ろに再度“峠”を付加したので、“修那羅峠”は日本語に訳すと“石峠・峠”となってしまい、本来はおかしいのです。この様な言葉を重層語と言います。

 

修那羅峠の付近には、四賀村(志賀高原・菅平):シカ(アイヌ語)=崖の上、田沢温泉:タイ(アイヌ語=山林)+サワ(アイヌ語=小平地)、奈良本;ナラ(アイヌ語=緩やかな平地やそれに続く坂)などアイヌ語の地名が残っているので、古代には青木村にも多くのアイヌ人が住んでいた事が推し測られます。